開運グッズの通信販売会社「アドライン」(大阪市淀川区、解散)の脱税 事件で、大阪国税局OBの税理士・野上孝行容疑者(47)(法人税法違反容疑で逮捕)が同社に「税額を圧縮できる」と脱税の手口を助言していたことが、捜 査関係者への取材でわかった。1000万円以上の報酬も受け取っていたといい、大阪地検特捜部は野上容疑者が脱税を指南したとみている。

 特捜部によると、同社は2010年4月の設立から11年6月の解散までに、開運をうたったブレスレットの販売などで得た売り上げ約7億6000万円のうち、約2億2200万円の所得を隠し、法人税約6400万円を脱税した疑い。

 捜査関係者によると、野上容疑者は当時、大阪市中央区の税理士事務所に所属していたが、個人的に同社の税務相談や確定申告書の作成に関与していた。

 同社の実質的経営者だった河本大介容疑者(34)(同容疑で逮 捕)らから相談を受けた際、仕入れがあったように装って課税対象になる利益を少なく見せかけることを提案。同社は取引先だった三重県の宗教法人からの架空 仕入れを計上し、赤字で納税額はゼロと税務署に虚偽申告した。野上容疑者は「浮いた分をほしい」と報酬を求めたという。

 特捜部は11日、河本、野上両容疑者のほか、同社の代表清算人で元代表取締役・田中寛紹ひろあき(39)(大阪市淀川区)、元代表取締役・寺尾拓也(37)(兵庫県尼崎市)、宗教法人の檀家だんか総代・中島昇(61)(同)各容疑者の計5人を逮捕している。