世界金融危機以降、国境を越えた脱税・租税回避行為の取締りは強まっている。租税回避問題はグーグル、アップル、アマゾンなどの多国籍企業数社にも飛び火し、全世界の注目を引いている。
プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の発表したデータによれば、過去6年間、国境を越えた租税回避行為への取締りで外国人顧客が減少し、スイスの銀行は約3500億スイスフラン(約40兆円)の資金を失った。そのうち、本国政府に科された罰金の支払いのために1000億フランが引き出されたほか、約2500億フランが本国に送金されたか別の金融センターに移されたという。
2009年初め、UBSは「本国政府に資産を隠匿したアメリカ人顧客を助けたことがある」と確認し、7億8000万ドルの罰金の支払い及び一部のアメリカ人顧客の名前開示をも認めた。だが、スイスの銀行は相変わらず顧客機密保持制度を保つよう求めている。
その後、スイスの大手銀行、UBSはアメリカ政府と和解合意を達成し、アメリカ政府に4450人の顧客名前を開示することを約束した。
スイスのプライベートバンキングはアメリカ及びヨーロッパの税務機関の調査を受けた。アメリカはスイスの銀行12行を対象に調査を進めている。昨年末までにまた100人のスイスの資産管理マネージャーが進んで米司法省の調査を受けた。
スイス最大のプライベートバンキング、ロンバー・オディエは8月28日、財務データを発表する計画だ。また、Pictet&Cie.Group SCAも財務データを発表する計画だ。ここ200年間、スイスのプライベートバンキングが財務データを発表するのは今回が初めてだ。
アナリストによると、近年で国際社会は税制協力を強める意欲が強く、政治と外交からの圧力は大きくなっている。長期的に見れば、銀行の顧客機密保持制度はなくなり、租税回避地も消えるとしている。